ある芸能人さんが、看護師さんに暴行を加え、逮捕されてしまいました。
その時、こんなコメントを見ました。
「傷害罪は通常なら逮捕されず、始末書を取られて終わるもの。少し異例」
傷害罪は逮捕されない、というコメントですね。
はぇ~・・・。
今回は、このことについてお話ししたいと思います。
1.傷害罪は逮捕されない?
最初に結論言っちゃいますけど
逮捕されます
暴行ならわかるんですが、傷害で逮捕しないのは、ちと、うーん、って感じです。
暴行罪ならわかると言った理由も含めて、ここからお話ししてみたいと思います。
2.暴行罪だったらどうなの?
暴行罪と傷害罪の違いは、簡単に言えばケガしたかどうかです。
傷害罪は、暴行罪のパワーアップ版だと思ってください。
なので、まずは暴行罪について考えます。
暴行罪の場合は、微罪という処分が可能になります。
微罪というものは、一定の犯罪について、一定の条件が揃っていれば、犯罪の履歴だけ残すことで済ませますよーって処分です。
これについて話してしまうと長くなってしまうので、詳しくは、またの機会にお話ししたいと思います。
まず最初にポイントとなるのは、前科の有無です。
前科の有無によって、判断は大きく変わってくるんですね。
次にポイントとなるのは、被害者の処罰意思です。
被害者が「許せね~!」って言ったら当然アウトなわけです。
これは、一番シンプルに言えば被害届を出すか出さないか、と考えていいです。
よって4パターンに分けて考えると分かりやすいです。
①前科がなくて、処罰意思もない
一番平和なパターン・・・では、実はないやつ。
これは、微罪処分が可能となります。
なので、被害者から「処罰を望まない答申書」、被疑者から「始末書」、被疑者の家族等から「身柄請書」を作るなどの手続きを経て、微罪とすることになります。
②前科がなくて、処罰意思がある
処罰意思があると微罪にできないのです。
基本的には、前科がないなら逮捕されることはあまりないです。
(ゼロではないです、状況によりけりです)
この場合なら、基本的には「在宅処理」という形になります。
逮捕しないで、必要な時に警察署に呼び出して取調べ等をするものです。
③前科があって、処罰意思がない
実はこれが一番平和だったり・・・。
前科があると微罪にはできません。
そして処罰意思がないので、事件化もしないことがほとんどです。
(状況によっては事件にすることもあります。これについては別の機会に・・・)
微罪と同じように始末書、答申書、身柄請書・・・といった書類は作りますが、ほぼそれで終わり。
一番平和です。
④前科があって、処罰意思もある
今までの4つで一番激しいですよね。
こんなのは可能なら逮捕です。
逮捕できない状況なら仕方がないですが、逮捕を前提に考えます。
と、いうことで、暴行罪であっても全然逮捕なんてあり得るんですよね。
3.傷害罪ならなぜ逮捕されるの?
それでは傷害罪ならどうなるのかというと、先ほど言ったとおり、普通に逮捕されます。
なんでかって言うと、傷害罪は非親告罪だからです。
つまり、被害者からの処罰意思がいらないんです。
そしてそもそもケガさせてるんだから、そりゃ悪い奴なんですよ。
ただ殴るだけじゃないですからね、ケガさせてるんですよ。
ほら悪い奴じゃないか!って理論が作れます。
小学生みたいな理論ですよね?
でもこれが実際のところ、「刑事思考」なんです。
悪い奴は懲らしめる!って感じです。
ということで、逮捕できる状況になっていれば、大体の場合逮捕すると思います。
もし逮捕しなかった場合、確実に上司に聞かれます
「なんで逮捕しなかったの?なんか理由でもあったの?」
これに答えられるならいいですけど、大体答えられないと思いますね。
4.まとめ
今回は、傷害罪は逮捕されないのか、ということについて書いてみました。
暴行罪との対比を中心に書きましたが、要は警察は逮捕前提で対応するので、逮捕されることの方が普通だと考えた方がいいんじゃないかな、って感じです。
逮捕されたのは例外、ということはありません。
どうせ逮捕されないんだろボコーみたいなのは絶対にやめましょうね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。